漢方コラム
陰陽五行説
中医学は、太古の昔から、人体を小宇宙ととらえ、陰陽五行説を用いて、人体生理、病理、疾病の診断と予防、治療を研究してきました。
唐の時代、日本では奈良時代に、奈良県の唐招提寺に鑑真大和上が仏教と共に、医学を伝えたことは、有名です。
豊臣秀吉の時代にも多くの医学書を朝鮮から持ち帰り、徳川家康が、自分で薬をつくっていた話も良く知られています。
その後、中国から渡って来た医学は、現代に到るまでの間に、日本の気候風土に合うように工夫が重ねられてきました。
生薬に使用される原材料も日本の国内でとれる動植物、鉱物 海の物などを使うようになり、その他数々の工夫が重ねられて来ました。
またさらに、いろいろな民間療法も行われてきました。
陰陽学説とは
陰陽学説には、「物事や現象はすべて陰と陽二つの面を持ち、絶対的なものではなく、相対的なものである。」と言った基本的な理念があります。
書物には、「陰と陽は単独では存在せず、陰は陽を生み、陽は陰を生む、陰は内にあり、陽の守りとなり、陽は外にあり、陰の使となる。」と書かれています。
さらに、「陰が勝れば陽は発病し、陽が勝れば陰は発病する・・」と続きます。
陰陽学説では、病気は陰陽のバランスが失調している状態であると考えます。
五行学説とは
五行学説では、物質を木、火、土、金、水の五つに分け、五種類の物質は、互いに関連し、抑制し、抑制され、動的な状態の中で、バランスのとれた平衡状態を保っていると考えました。
例えば、
木:木の生長する特性を上に伸びる、しなやかで、のびやか、柔和と考え、
季節は春
五方は東
臓は肝 腑は胆
味は酸味
五体は筋
五竅は目
五志は怒
五液は涙
火:火の特性を炎上、温熱と考え
季節は夏
五方は南
臓は心 腑は小腸
味は苦
五体は脈
五竅は舌
五志は喜
五液は汗
土:土は作物を育てる特性を具えていて、成長して収穫すると考え成長変化、物を載せ
物を受け入れると考え、また、「万物は土から生まれ、土に戻る」「土は万物の母」の説も
あり、土を中心に考える説もあります。
季節は土用
五方は中央
臓は脾 腑は胃
味は甘
五体は肌肉
五竅は口 唇
五志は思
五液はよだれ
五悪は湿 五常は信
(以下、金・水と続きます。)
これを応用すると、
妊娠をすると酸味の物が食べたくなる。
肝が病むと怒りっぽくなる 目が悪くなる。筋が引きつる。
心臓は寝ていても動いていて、熱の多い臓器であり、夏には苦味の物を食べると良い。
などと言うような解釈が行うことが出来ます。
このように、漢方の体質判定には、陰陽五行説が、生かされているのです。